君とてのひら

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「ホテルではなくコテージを取ってある」 「コテージ?」 「島の奥にあるキャンプ場のコテージさ。ホテルにはスイートがないということだったからやめたんだ」 「へぇ、リゾート地なのにスイートがないんだ」 「あるのはビジネスホテルのようなものらしいな」 キャンプ場はもともとあったのだそうで、そこのコテージやバンガローが唯一独立した建物の宿泊施設とのことだった。 「それとは別に、リゾートホテルを建設する予定があるそうだ」 「本当に開発中なわけだ」 「そうだな、だから大化けする可能性もある」 ビジネスチャンスがあるかもしれない。そんなことを言いながらニヤニヤしている。 「ここに来てるお前みたいな経営者、みんなそう思ってんのかな」 「そうかもしれないな。この町としても、それを見越してイベント会場のオファーを受けたところもあるだろう。何せ世界的なイベントだからな」 なんてビジネスっぽい話はまあいいんだよ。 「そのコテージってのはー、っと」 リーフレットで地図を確認した。一周20分ほどの小さな島の南の果てにキャンプ場がある。今いるメイン会場とはすっかり反対方向だった。 「現地まではなにで行く感じ?」
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