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「アニメで見たことのある鍵そのものだな!」
彼のテンションはさらに上がった。
「そうだな、じゃあ無くさないように持ってろよ」
手に握らせてやると、ふんと鼻息荒くしながら目をキラキラさせていた。ちょっと可愛い。
荷物自体はキャリーカートで2つ。ドアを開くとすぐに木の香りが漂ってきて、旅の疲れが少しだけ解れた。
「田舎に帰ったような気分だ」
彼は玄関先で深呼吸する。わからないでもない。靴を脱いで中に入るとすぐに、石造りの暖炉とロッキングチェア、5人がけと覚しい大きなソファの置かれたリビング、シンプルなダイニング、システムキッチンが現れた。
「おおー、立派じゃん」
ゆっくりと天井まで見上げる。ロフト状態の二階には、リビング横から階段が続いていた。
「シャワールームがどうとか言っていたが」
室内を見回した彼は、キッチンの壁沿いにあるドアに目を向けた。そのままドアノブを握った。
「Oh! こりゃすげぇな、このコテージは大当たりだ」
その言い方がやたらわざとらしくて、いい予感がしない。キッチンを眺めていた俺は、彼の背中越しにゆっくりとドアの向こうを覗いた。
すぐに数段の階段になっていて、その向こう側がガラス張りになっている。向こう側に山肌が見えた。
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