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「ふーん。――じゃ、俺も一緒に行くわ。運転手は二人いたほうが楽だろ」
「悠馬の方が年下じゃん」
「たった二ヶ月だろ! 待てるだろそれくらい」
「分かってるって」
昔から二か月間だけオレがお兄ちゃんって、自慢してたな。そのたび悠馬がちょっとフキゲンだったのを思い出す。
あ、でも佐竹に確認しないと『そんなヒマあるかボケ』とか言われそう。
望遠鏡から目を離して、草むらに並んで座り込んだ。空を見上げて、息を大きく吸い込む。
「――やっぱり悠馬の隣がいちばん安心する」
ドキドキはしちゃうけど。心地よいドキドキ。
「……ずっと隣にいてくれ」
「なんか、プロポーズみてえ」
「そうだな。じゃあ、星空に誓うか」
悠馬、そんな恥ずかしい台詞言えるようになったのか。人間って成長するな。
悠馬が手を伸ばしてくる。力をこめて、繋いだ。
「――誓いのキス」
そう言って、悠馬が顔を寄せてくる。甘いキスを受け止めながら、じわじわとあったかいもので満たされるのを感じる。
ずっと。ずっと、一緒に。
春には春の星座を。夏には夏の。幾度も季節を重ねて。
「……離すなよ」
額をこつんと合わせて、指を絡める。
「そんなもったいないことするかよ。何年待ったと思ってんだ、俺」
ちょっと怒ったように悠馬が言ったので、くすりと笑った。
「……お前の飯は、ずっとオレが作るから」
言ったあと恥ずかしくなって目を伏せた。
「……頼むな」
悠馬が瞳を細めて、もう片方の手でオレの頬に触れる。
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