第一章 その想い、お届けします。

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   自転車を走らせ数時間、ようやくヒロエさんの住むアパートに到着した僕は、道中チョコレートが溶けてしまってないか心配しながら玄関のドアを3回ノックした。 だが、反応がない。 「なんでこのアパートインターフォンないんだよ……」 と、僕は内心苛立ちながらも、周りの住民の迷惑にならない程度の大声で声をかけてみることにした。 「ヒロエさーん!ご注文されたチョコレートの配達です!」 すると中から半泣きの女性が出てきた。 「わ、私が……ヒロエです」 「チョコレート……ありがとうございます……うぅ…」 ヒロエさんは半泣きになりながら、チョコレートを受け取り中に戻ろうとしたが……。 「ヒロエさん!僕に聞かせてくれませんか!」 「その涙の理由を!」 そう言って僕が食い下がると、意外にもヒロエさんは部外者である僕を中に入れてくれた。 「いいでしょう」 「ただ、余計なことしたらすぐに出てってもらいますからね!」
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