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彼は、泣きながら事の詳細を語りだした。
「俺の父は政治家で、息子である俺に対してお見合いの相手を用意していたんだ……」
そのまま彼は続ける。
「俺はそれに反発していた……でもそれは……」
「仏の顔も三度まで。っていう言葉があるくらいだ」
僕は、話の先を察した。
「三度、親父に反発していた俺には、後がなかった……」
「だから、あのバレンタインの日、チョコレートを受け取れなかった……」
前日、ヒロエの部屋にて
「あのバレンタインの日以来、私は彼のことを忘れようと想った。」
「でも……」
「忘れられなかった。」
「だから、僕、ユーバーイーツ配達人にチョコレート一つを注文した。」
ヒロエさんは頷き、また涙を拭った。
その時、僕は決意した。一人のしがないユーバーイーツ配達人として。
「ヒロエさんのその想い、お届けします。」
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