拝啓、加奈ちゃん。1

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拝啓、加奈ちゃん。1

一通目 ──ひさしぶりのおてがみになりました。加奈ちゃん、げんきでしたか? こっちはゆきもだいぶつもって、もうすっかりふゆといったかんじです。さむいひがつづいていますが、お母さんはげんきなので、しんぱいしないでね。 ごめんなさい、加奈ちゃん。さびしくさせたよね。お母さんね、いろいろあって、少しのあいだ、おてがみをだすことができなかったの。さびしかったよね。そんなこともないかな? ごめんなさい。でもね、お母さん、加奈ちゃんのことはずっとおもってたよ。ほんとうです。加奈ちゃんのことがだいすきで、はやくあいたいな、なんておもってたのよ。これじゃ、お母さんのほうがさびしんぼね。 お母さんはね、加奈ちゃんがむこうでもげんきにやってるのなら、それがいちばんのしあわせです。加奈ちゃんがわらっててくれることが、お母さんにはとってもうれしいことなのよ。だからね、かわいいおかおで、ずっとずっとわらっててちょうだいね。お母さんとの、おやくそくだからね。 それでね、お母さん、いまから加奈ちゃんのところにしゅっぱつします。お父さんにいって、すぐにいくことにしたのよ。お母さんはさびしんぼだから、すこしだけわがままいっちゃったの。でも、加奈ちゃんにあいたいものね。しばらくあってなかったから、加奈ちゃんにあえるのがとってもたのしみです。お母さんとおてがみ、どっちがはやいかな? お母さんのかお、わすれてないかな? なんてね。 加奈ちゃん、おじいちゃんとおばあちゃんによろしくね。いいこにして、まっててね。お母さんとお父さん、いそいでとんでいくからね。お父さんのこと、お母さんひっぱっていくからね。きっと、すぐついちゃうとおもいます。また、わらってすごそうね。 またね。だいすきだよ。加奈ちゃんにあったら、いっぱいいっぱいだきしめるからね。たのしみにしててね。じゃあ、また。 加奈ちゃんの、お母さんより。
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