拝啓、加奈ちゃん。2

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拝啓、加奈ちゃん。2

二通目 ――加奈ちゃん、げんきですか? お母さんです。 こっちはゆきもふりはじめて、ちょっとだけポストにいくのがたいへんです。みちもこおってすべりやすくなって、きょうなんかツルツルでお母さんはあぶなくころんでしまうところでした。でもケガはしなかったから、あんしんしてちょうだいね。はやく加奈ちゃんにおてがみとどけたくて、がんばってポストまであるいたのよ。加奈ちゃんにも、そのきもちがとどいているといいな。 加奈ちゃんがおじいちゃんとおばあちゃんのところにいって、だいぶたちますね。こうしておてがみをかいて、よんでもらってると、加奈ちゃんとはなれてることがわかってしまって、お母さんはちょっとかなしいきもちになります。ごめんね、お母さんとお父さんのことで、加奈ちゃんにはさびしいおもいをさせてるよね。加奈ちゃんはお母さんそっくりでさびしんぼだから、きっとないてるときもあるよね。おじいちゃんもおばあちゃんもやさしいけど、それでもやっぱり……。 ごめんね。でも、加奈ちゃんのことがだいすきなのはほんとうだからね。それだけは、しんじてね。お母さん、加奈ちゃんのことがいちばんたいせつです。ずっとずっと、かわらないからね。 ──それでね、加奈ちゃん。びっくりしないでね。お母さんこんど、そっちにいこうかとおもってるの。お父さんにはまだいってないけど、お父さんも加奈ちゃんにあいたいはずだから、きっとあいにいけるとおもいます。お母さんとお父さんと加奈ちゃんの、さんにん。また、いっしょにいられるね。 さんにんであったら、どこにいこうか? 加奈ちゃんがすきなゆうえんちに、いってもいいね。すいぞくかんでもどこでも、加奈ちゃんがいきたいところにいくからね。そっちにも、たのしいところがあるといいね。いきたいところ、かんがえておいてね。 加奈ちゃん、たのしみにしててね。そっちもさむいかな? あったかくして、げんきにすごしてね。だいじなだいじな加奈ちゃんへ。だいすきだよ。お母さんより。
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