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『……ふっ…ぅ……やッ…』
少し粘着質な音と、女と聞き間違えるそうになる男の声。
男の相手がクスリと笑うのが聞こえる。
『ここをこんなにして……嫌じゃないでしょ?』
『……ぁ…ぅ…んっ……むりぃ……』
「こっちの方が無理だってのぉぉぉぉ!!」
その音に耐え切れず、侑人はヘッドフォンと本を思いっきり先ほどまで自分のいたベッドの上に投げつけた。
先ほどまでの男の喘ぎ声が少し遠くなると、安堵のため息をつく。
―――どう頑張っても無理だ。
好みは人それぞれだから否定するわけではないのだが、だからと言って普通に女性が好きな侑人は好き好んで男性同士の恋愛ボイスドラマ……所謂BLドラマを聞いていたわけではない。
原因である台本を侑人は睨みつけた。
不安定な仕事をしている自覚はある。
マネージャーさんの言う意味も理解している……
だけど……
『兎は亀に翻弄される』
手にした台本のタイトルを見て、何度目かの大きなため息をついた。
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