2.予感

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アステル城最上階に位置する星宮の間。 部屋へと続く重厚な扉まで続く廊下には燭台が一つもなく、大きな窓から差し込んでくる月光だけが大理石の床を青白く照らしている。 星宮の間はおろか廊下にすら見張りの兵士一人見当たらず、より一層寝静まった城を不気味にさせた。 突如静けさを破る扉の開閉音が響く。 星をちりばめたような純銀の扉から出てきたのは、新アステル連邦王国の国王リゲルだった。 面長な顔には涼しげな目元、すっと通った鼻筋が形よく並び、薄い唇には僅かに笑みを浮かべている。 若く美しい国王は窓の方へ歩み寄り、すっかり眠りについた城下町を見下ろした。 「私が即位してから早10年……。ようやくここまで来た。 …………………これから面白いことになるぞ」 降るような星空の遥か彼方から、こちらを見ている者の気配を感じとる。 「そこで見ているがいい」 国王は再び歩き出した。
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