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翌日。
ミラ達は午前中の内にダナへ戻ってきた。
村はナイローテに破壊された所以外、以前と変わりない。
故郷であるということに安堵したが、それでもミラの心は晴れなかった。
「ここに移住者を集めるっていう話だったけど、もう無理なんじゃないかな」
「何故だ?」
「だって、ナイローテが来たってことは、この場所はもう城にバレてる。それじゃあまた前と一緒だよ」
「だからって、諦めるのか?」
「そうじゃ……ないけどっ」
「お前の覚悟はその程度のものだったのか? たった一度敵に見つかったくらいで、約束を反故にするような奴なのか?」
「違う!」
絶対に成し遂げると決めたことを、これぐらいで諦められるものじゃない。
それは分かっている。
ミラの表情を見て、キリクはふっと笑った。
「だろうな。…………まぁ、打つ手はある」
「え、あるの!?」
「ああ」
腰にあるポケットから小さな石を取り出してきた。
「ライラックに寄ったのは、これを受け取るためでもあった」
掌にのせられた鉱石は、キラキラと光っている。
まるで、内部に真っ青な空を閉じ込めたようだ。
時折、流星のような光が魔鉱石の中で弾けている。
鑑賞するだけで良い。
とても綺麗だ。
そうだ。
これはデフォー爺さんが叩いてた鉱石だ。
なんでキリクが?
「これがどうかしたの?」
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