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親の物は処分して私好みの家にしよう。私は期待でいっぱいだった。
「何かあったら相談してね。って、話聞いてあげるくらいしかできないけど」
「早苗は子育てに忙しいんだから、そっち頑張って。私は大丈夫だから」
「真澄は強いね。私だったら泣きっぱなしで何も出来なくなっちゃうよ」
強いわけじゃない。私だって早苗の家みたいに優しい両親だったら泣いただろう。いや、どんな親でもたった2人だけしかいない親。泣かない方がおかしいのかも知れない。私はいつの間にか冷めた人間になってしまっていたのだ。
「ほんとに無理しないでよ。泣きたい時には泣くんだよ。我慢しちゃダメだよ」
「うん、ありがとう。早苗がいてくれて心強いよ」
心にも無いが、一応早苗に対してお礼を言っておく。親が亡くなって悲しまない人間だなんて思われたくない。ひとが心配してくれているのに感謝の言葉も言えない人間だなんて思われたくない。
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