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出会ってから、ずっと一緒だった。同じ病室で、同じ苦しみを抱えてきた。
どうしようもない泣き虫だけど、こいつだけが、私の気持ちを本当に理解してくれた。
「ごめんね……あやちゃん……ごめんね」
「……バッカじゃないの。そんなの、あんたが謝ることじゃないじゃん」
「え?」
「私が、そうしてほしかっただけ。私が死んだ後も、あんたにはたくさん生きて、楽しいこと、いっぱいしてほしかったんだよ。あんた、私がいないと、いつも一人だったから」
「……ぼく、友達できたよ」
「え……?」
「あやちゃんのおかげで、ぼく、強くなれたんだ。人に、話しかけられるようになったんだ」
(……別に、私のおかげじゃないし)
「でも……さみしかったよ」
「え……?」
「やっぱり、ぼくの一番の友達は、あやちゃんだから」
「――――っ!!」
「ずっと……会いたかったよ……」
(あぁもう! 泣き止んだと思ったらまたすぐ……に……)
目の前が、滲んでいく。こいつの顔の輪郭まで歪んで……。
(あぁ、最悪……)
こいつは、体も心も、私なんかよりずっと重くて、苦しんでいた。
だから、こいつの前でだけは絶対に泣かない。そう、決めてたのに。
「……あや、ちゃん?」
「私だって!!」
最後の最後で、何でこうなるかな。
「私だって……寂しかった……ずっと一緒に、生きたかったよ!」
「……う……ひぐ……」
私の泣き顔なんか見たら、こいつ、絶対泣き止まなくなるのに。
どうしようもなくお人好しで、優しい奴だから。
「わああああああん!! あやちゃああああん!!」
案の定、こいつは鼻水垂らして駆け寄ってきた。
(ほらやっぱり!)
最悪だ。こんなの最悪の展開のはずなのに……何でなの。
「うわああああああん!!」
私も、こいつと同じように泣きじゃくった。馬鹿みたいに喚いて、みっともなく涙と鼻水を垂らして。
もう体なんてないはずなのに、抱きしめたこいつは、涙が溢れるくらい温かかった。
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