【1・男】

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あ…。 そう…言えば… 今の今まで、俺は自分に味方をしてくれた人間は周りに一人もいないと思っていたが… よくよく考えてみると…一人だけ、俺と仲良くしてくれた男子学生がいた…。 彼は、俺の中学時代のクラスメイトで、もう名前は忘れてしまったが… 確か、医者の息子でお坊っちゃんだった。 それで、彼は周りの生徒達から『エリート君』なんてアダ名を付けられ、からかわれていたと思う…。 俺と彼は、全く違う生活環境で育った訳だが、妙に意気投合してよく一緒に遊んだものだ。 時々、俺達は『将来の夢』について語り合ったりもした。 まあ、俺には『夢』なんて物は無かったが… 彼の方はとにかく動物が大好きで、 「将来は、動物学者を目指す!」なんて言っていた。 あれから…中学を卒業した俺達は、それぞれに別々の高校に進学したので、それっきり付き合いは途絶えてしまったのだが… あの『エリート君』… 彼は今、元気にしているだろうか……。 念願の動物学者には… なる事ができただろうか……。
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