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「ウゥ…」
と、俺は夜の浜辺で妖艶な満月を眺めながら…更に、これまでの不幸続きの人生を振り返って感動の涙を流し続けた。
高校卒業と同時に施設を出て社会人となった俺は、就職先の商社で額に汗してがむしゃらに働いた。
そんな日々を送っているうち…
あれは、つい今から三ヶ月ほど前の事だ。
何と!俺は普段の頑張りを会社に認められて、ある新企画の推進役として重要なポストを任されたのである!
そして、その上!
こんな俺にも恋人ができたのだ!
「よし!
不幸続きのこの俺にも人生の道が開けて来た!」
俺は俄然、張り切った!
しかし…
と、言うか…
やっぱり…と、言うか…
それでも、俺の目から…
『嬉し涙』が流れ出る事は、無かった。
しかし…
そんな時である。
今度は、つい先月の事なのだが…
俺は、仕事でうっかり重大なミスを犯してしまい…
その結果、会社から与えられたポストを剥奪されてしまった。
俺は、会社での居場所を失い…
先週、自ら辞表を提出したのであった。
更には、つい昨日の事…俺は交際を始めて間も無い恋人の真輝子から…
「私、出世コースから外れた男には、興味が無いの」と、別れ話をも切り出されてしまった…。
そう。
つまり現在、俺は仕事も無ければ…恋人もいない。
そして元々、家族もいない。
天涯孤独の身だ。
更に付け加えるなら、不幸のどん底だ。
「ああ…やっぱり、俺の人生は不幸の連続…ドラマチックな展開の連続だなぁ…」
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