【1・男】

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実は… 最近になって俺は、こうも考える事が有る…。 「もしも…今の状況より、ずっとずっと不幸な展開を…ずっとずっとドラマチックな展開を体験する事ができたとしたら… そしたら俺は、もっともっと全身が痺れる様な『激しい感動』を味わう事ができるんじゃないだろうか…。 それはそれで、悪くはないんじゃないか?」と…。 「って、何だ?そりゃ!」 と、俺は即座にその考えが頭に浮かぶ度に打ち消す。 確かに…俺は、自分の不幸な境遇に感動はするが… だからと言って、別に自ら進んで不幸を呼び寄せるツモリは無論、毛頭無い。 でも… もしも、もしも、そんな体験が…全身が痺れる様な激しい感動を味わう事ができるのであれば… どうせなら、 『究極のドラマチックな展開』… ってヤツを体験してみるのは、どうだろうか。 でも… そもそも、『究極のドラマチックな展開』って… 一体… 何だろう……。 「ウゥ…」 俺は…夜の浜辺で妖艶な満月を眺めながら、自分の不幸な境遇に更に感動の涙を流し続けた。 その一方で… 俺は、昔から満月を見ると… 何と言うか、体中の血液がグツグツと沸き立つ様な…『正体不明の妙な感覚』に襲われる事が時々、有る…。 「ウゥ…」
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