【2・女】

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そして、そんな中… あれは、つい今から一ヶ月ほど前の事だ。 何と!私は普段の頑張りを上司に認められて、大事な業務を同期の男性達と一緒に行う事になったのである! そして、先週… 私は、この地方都市に男性の同僚数人と共に仕事の為に出張でやって来た。 「よぉし!頑張って仕事で結果を出すわよぉ!」 私は俄然、張り切った! しかし…である。 いくら頑張っても… 今の私は、仕事上の結果を全く出せずにいるのだ…。 一緒に赴任した男性の同僚は、 「うぅん…。 君は、本当に頑張ってると思うんだけど…やっぱり女性じゃ、ちょっと難しいんじゃないかなぁ。この仕事」 と、言って来る。 「いえ!そんな事、絶対に無いわ!」 私は、そんな言葉に一層、闘志を募らせて頑張った! 頑張ったのだが… やはり、結果が付いて来ない…。 このままでは… せっかく私の栄転を喜んでくれた家族を落胆させる事になってしまう…。 私の家族は… 父が医者で、兄は動物学者。 少々、照れ臭い話だが… 周りから『エリートの家系』なんて言われる。 父も兄も現役でバリバリ仕事を頑張っている。 特に兄は、動物学者になる事が小さい頃からの念願の夢だったので… 今は、張り切って精力的に論文を発表したりと本当に目を見張る程の活躍ぶりだ。 そんな父と兄は、いつも私に… 「お前は、そんなに仕事を頑張らなくても、素敵な男性と結婚して家庭を築くのが一番の幸せだよ」 と、口々に言って来るのだ。 でも! やっぱり、私だって父や兄みたいに責任の有る仕事でバリバリと働きたい! その上、実は先日… 私は恋人にフラれてしまった…。 「やっぱり女性は、家庭に収まるのが一番だよ。まあ、君には分からないかもしれないけどね…」 そう言われてしまった。 「ああ…世の中には私の気持ちを理解してくれる男性は、一人もいないのかしら…。 それに、女性の私がいくら仕事で頑張っても今の職場では、結果を出せないのかしら…」 私は、夜の浜辺で… 綺麗な満月を見ながら、自分の不甲斐なさ、情けなさに涙を流したのだった…。
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