はちみつドロップ

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はちみつドロップ

*人物紹介* 外村 龍聖 -とのむら りゅうせい- 神崎 真琴 -かんざき まこと- * * * * カラコロと口の中で転がせば甘い蜜の味がじんわりと広がる。 * * * * 午後の授業の合間の休憩時間。いつもならタバコを吸いに出るのだが、あいにく真琴は手持ちのタバコを切らせていた。ポケットや鞄を探しても予備などもない。 「はぁー、まじか。買いに行く時間もないしなぁ。」 小さなため息とともに携帯を開くとメッセージが1件。 『ごめん。午後はぶっ通しで講義あるから抜けれない。』 頼みの綱の龍聖からの返事だった。 「くっそ、まじかぁー…」 はぁと肩を落として再度ズボンのポケットに手を突っ込んでみる。 「ん?」 指先にカサリと当たったものを引っ張り出す。 「飴かぁ。…まぁいいか。口寂しいのはこれで紛れるな。」 真琴は飴の袋を破きポイッと口に放り込んだ。 「あっま。つか、こんな飴持ってたかなぁ。まぁいいか。あ、やべ!授業始まる!」 真琴はそのまま急いで次の講義が始まる教室へと向かった。 * * * * 講義が終わりいつもの喫煙所で真琴と龍聖は待ち合わせをしていた。講義が長引いた真琴は急いで喫煙所へと向かった。 「りゅーせー!」 「まこ、お疲れ。」 「タバコくれ〜」 「はいはい。でもメンソールだよ、いいの?」 「いい!今はとにかくタバコならなんでも〜」 「よっぽど我慢してたんだね。はい、どうぞ。」 「サーンキュー」 真琴は差し出されたボックスから1本タバコを取り出した。すかさず龍聖がライターで火をつける。 「ん〜!!うめぇ〜。」 はぁと紫煙を吐き出し満面の笑みを浮かべる真琴。 「よかったね。あ、でもよく我慢できたね。」 「たまたまな、飴見つけてさ。それ舐めてた。」 「美味しかった?」 「後であるよ。まだあったし、タバコのお礼。」 「ありがとう。」 ようやくの一服で真琴はゆっくりと味わうこともせず、ニコチンを摂取した。 フィルターのギリギリまでタバコを吸って真琴はタバコを消した。 「生き返った。まじ、サンキュー。」 「どういたしまして。ってあれ?また飴舐めるの?」 真琴は鞄から飴玉を取り出し口に放り込もうとしていた。 「ん?あ〜、買うまでな。とりあえずは落ち着いたからさ、そしたらやっぱ愛煙タバコちゃんが恋しくなってよ。買うまでのつなぎ。」 「なるほどね。」 「お前にも・・・」 鞄の中を漁り真琴は新たな飴を探す。 「お、あったあった。ほらりゅうせ・・・んっ」 振り返って龍聖に飴を渡そうと手を伸ばそうとしてその手を掴まれ引っ張られる。そのまま近づく唇。 「うっ…ふ、んん…っ」 龍聖は舌先を真琴の舌と絡める。息苦しそうに声を漏らす真琴は離れようと必死に身動きをする。 舌が引っ込められると同時に、真琴の口の中にあった飴玉を一緒に絡めとる。 「…てめっ…こんなとこで何して…」 真琴は顔を赤くしながら唇を擦る。 「甘いね。蜂蜜だ。」 片方の頬の裏に飴玉を含み流聖は言った。 「いや、味とかどうでもいいだろ。こんなとこで何してんだって言ってんの。」 「…誰もいないし…飴くれるっていうし…」 「いやいやいや、普通新しいのもらうだろ。舐めかけなんて汚いだろ。’ 「汚くないよ。まこのだもん。美味しい。」 龍聖は恥ずかしげもなくそんなことを言う。 「だ〜〜〜お前はなんでそう…」 真琴は龍聖の肩部分を軽くこづく。 「ホントのことだよ。それに、まこにキスしたくなったから。」 「あーはいはい。ありがとな。」 素っ気無い態度なのは照れ隠しのせいだ。真琴は立ち上がってから 手にした飴を口に含んだ。 「まこ?」 怒ったの?と龍聖は不安そうな声を出した。 「怒ってねぇよ。いつものことじゃん。それよりもさ、帰ろうぜ。」 「あ、うん。‘ 龍聖も立ち上がり鞄を肩にかけた。 「愛しのタバコちゃん買うの付き合ってくれ。」 「了解。」 飴は甘くとろけ、はちみつの味がじんわりと広がる。少しだけ甘ったるい、まとわりつくような甘さが今はなんだかちょうどいい。それはきっとメンソールのタバコの後だから、そんなふうに思うのだろう。 2人は飴をからころと口の中で転がしながら喫煙所を後にした。 終
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