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「私達こそ身の潔白なんだから!」
「な、なんだからー!」
さらに、はいはーい!と手を上げたのが次女と三女である。ちなみに、小学生の双子の姉妹だ。
「やましいことなんかない、そうだよねなっちゃん!」
「う、うん、さっちゃん」
「……いや、やましいことあるだろお前ら。なんでここにいるの」
私はジト目になる。現在時刻、夕方の五時。彼女らは、塾に行っている時間のはずなのだが。
「塾サボったなお前らー!」
「「ぎゃっふー!!」」
サボってこっそり家に隠れていたところ、思わず反射的に号令に応じて出てきてしまったということらしい。彼女達もハリセンの餌食となり、ぽんぽんぽーんとよろしく庭に飛び出していった。
さて、残るは。
「さてりっくーん?」
「!」
ぎっくううう!と言わんばかりに体を怖がらせるリッキー。真っ白な可愛らしいマルチーズは、私の威圧感に可哀想なほど震えている。
この子本人が無実であることはわかっている。なんせ臆病で、誰より私に忠実であるからだ。問題は。
「……後ろに誰を隠してるのかなあ?」
おい、マリー。何で柴犬のあんたが、マルチーズの後ろに隠れられると思った?
リッキーの後ろで身を小さく屈めていた柴犬のマリーの口元は、モモの汁と皮でべったべたに汚れている。証拠は充分。犯人が誰であるかなど語るまでもなし。
「お前らの罰は、夕方の散歩お預けでいい?二匹とも、おうちでトイレできるもんねー?」
「!!!!」
そんな、あんまりだー!と言わんばかりに吠えるワンコ二匹。リッキーは可哀想な気もするが、妹分をうっかりかばってしまった以上連帯責任ということにしよう。
いい加減、こいつらも学ぶべきである。この家の女王様が誰であるのかということを!
――あーもう、どいつもこいつも馬鹿ばっかー!
とりあえず、新しい桃を買いに行こうと決める私だった。勿論、夫のおこずかいで。
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