運命的な出会い[出会い編]

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運命的な出会い[出会い編]

僕達の出会いは職場だった。 僕が勤めていた会社に警備員として偶然配属された彼女と出会った。 もっと詳しく説明すると、会社内にある売店で買い物に来ていたところで偶然出会した。 「一目見て運命だと思った。」 そんな恋愛映画の定番台詞があるが、少なくとも血まみれの人間を見て運命だと思う者はいない。 ○年前ー 『あの…絆創膏ってありますか?』 売店に買い物へ来た僕の前に、黒い帽子を被った長身の人が血まみれの姿で売店に立ち寄っていた。 顔面や身体中から血で濡れており、他にも青痣や擦りむき傷がついており暴力沙汰かと思った。 僕は勿論のこと、売店のおばちゃんは口をパクパクさせて青褪めていた。 言葉を失っているおばちゃんに代わり僕が話しかけた。 「あの…絆創膏で済む問題じゃないと思います。」 『…薄々そう思っていました。でも、今は絆創膏があれば大丈夫です。』 「あ、あ、あのね、あなた病院に行った方がいいわ。それに絆創膏も売り切れてるの。」 我に帰ったおばちゃんが援護に回ってくれたので助かった。 『あー…ないなら大丈夫です。』 絆創膏が無いと言われ、血塗れのまま立ち去ろうとする彼(?)を呼び止めた。 「待って!絆創膏2枚だけ持ってる!これ貼って!」 『えっ?いいんですか?ありがとうございます。』 血塗れの人は傷だらけの指で受け取ると血で濡れた額に貼るのを試みたが、絆創膏が滑ってしまい貼れない。 やはり、設備が整ってる病院で診てもらった方が良さそうだ。 『…くそ、貼れない。』 「あの近くに警備室があるので、そこに何かないか行ってみましょう。」 『はい。』 僕は、彼を警備室まで案内したが、すれ違う人々が驚いた表情をして後退りをしていた。 「あの、何があったんですか?」 『駅で階段を降りていたら、後ろから走ってきた男性が衝突してきて落ちました。』 「えっ!それは…。」 『相手も反省しているようだったので、連絡先等交換したので大丈夫です。』 「それでも、そんな状態でよく来れましたね…。」 『軽傷だと思いましたが、重傷になってきて驚いています。』 [でしょうね]と口から言葉が出そうになったが、密かに心の中へ仕舞い込んだ。 その後、警備室へ入り一通り説明していると彼の同期が病院へ送り届けられて行った。 礼をしたいので連絡先を教えてくれと言われたが、断って戻ってきてしまった。 [あまり関わってはいけない気がする。] 本能にある警鐘が激しく鳴った気がした。 これが僕の思った第一印象だった。 この血まみれの"彼"こそ、僕の妻になってくれる"女性"とは当時は思いもしなかった。
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