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17 ご対面
「人に聞かれたくない話って、なんか怖いんですけど?」
「いやね、大したことではないんですよ。
ちょっとしたことです、ちょうど君たち二人が具合が良かったので」
男子と清水がそんな会話をしながら近づいてきたのに気付いたらしく、女子二人がピタリと黙った。
「ちょっと、なんで私まで?
彼一人でいいじゃない!」
「まあまあ、頼りにされたんだからいいじゃないか。
内申が良くなるかもよ?」
さらには文句を言う女子を、男子が取りなすように宥める声も聞こえる。
「え……?」
その声を聞いて、ケンカ相手の方が驚いている。
それはそうだろう、今まで喧嘩をしていた片方の声と、全くソックリなのだから。
当の本人は気付いていないようなのは、仕方のないことかもしれない。
自分の声が他人にどう聞こえているかというのは、自分の声を録音して聞くような趣味を持っていないと、案外わからないものだろう。
やがて、渡り廊下へ繋がっている出入り口から、清水が二人の生徒を連れて現れた。
その後ろを、ひっそりと崎山がついて来ている。
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