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翌日、起きると由紀さんは僕に謝る。
「ごめんなさい。炊飯のスイッチを押したつもりだったんだけど、まだご飯炊けてなくて、朝のご飯もだけど、お弁当も……」
とは言うが、ご飯以外は完璧でテーブルにはいつもの完璧な朝食がご飯以外全て揃っている。
弁当もあとはご飯を詰めるだけなのか、そこだけ余白を残して後はいつも通り彩り豊かな弁当だった。
「仕方ないね」
僕は、いいよ、といった意味を込めてそう言ったのだが、由紀さんにはそうでなかったのか、また深く僕に頭を下げる。
「ごめんなさい」
「ご飯なくてもいいから、おかずだけ食べるよ」
「うん……」
僕にとってはご飯が炊いてなかった事くらい何でもない事なのだが、由紀さんの内心ではもっと大変な事になっていたなどと僕が知る由もなかった。
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