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いつもの食堂で、右には白石、左には田畑が座る。
「どうしたんだその弁当!?」
目敏い田畑が僕の完璧ではない弁当を覗き込んで笑う。
「ご飯を炊き忘れたらしい」
「それでコンビニおにぎりもあるのか」
「ああ」
田畑は自身の顎に指を当て何やら考えている。
「そうか、あれだな。離婚も秒読みか?」
「なっ!? 何で離婚なんだ?」
「田畑の思考回路は今どうなってその結論を導き出したんだ?」
「ん? なに、そう難しくはない。お前に愛想を尽かしての冷凍食品、尽かし切った今、白米が抜かれてみろ、もう明日には何も入っていない弁当になるかもしれないな! そうなればやはり離婚だろ?」
「何て事だ……」
項垂れる僕に、白石が「気にするな」と言う。
「田畑の考えは少し飛躍し過ぎだ」
「そうかな? だが藤井より頼りになる男が現れたらそちらになびくものだろう?」
「はあ。藤井、田畑の言う事なんて気にするなよ」
「ああ」
そう頷くが、どこかでもしかしたら、という思いは消えないでいた。
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