30人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日退院した由紀さんに、僕は考えていた事を聞いてもらった。そしてそれについて僕たちは、昔、上司と部下だった頃のように何度も話し合った。そんな久しぶりの感覚に高揚さえする。
そしてその結果、僕たちは――
「行ってらっしゃい、由紀さん」
「行って来ます!」
会社に復帰した由紀さんを玄関で見送ると、僕は泣いてる美桜のオムツを替えた。
僕はきっぱりと会社を辞めて専業主夫になったのだ。と、言ってもまだまだ新米の僕には助っ人が必要で、由紀の母が美桜の面倒を見に来てくれる。
「おはよう〜」
「おはようございますお義母さん」
「美桜ちゃん、ばあばが来ましたよ〜」
お義母さんに抱かれ美桜はすぐに泣き止む。それを見て僕は家事に取り掛かった。
「あら、手際がいいのね?」
「はい、結婚するまでは一人暮らしが長かったので一通りの事は出来ると思います」
「由紀とは正反対ね」
「夫婦ですから、適材適所、出来る方が得意な事をする方が効率が良いんですよ!」
「それ、由紀が言ったんでしょ?」
「ははっ、バレましたか」
「娘の事だもの。……迷惑を掛けるけど、これからもあの子を頼みます」
「はい、勿論です」
最初のコメントを投稿しよう!