prologue

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 ——光あるところに、闇は必ず現れる。  とある商店街の、とある古民家で、とある青年が、祖父の言葉を思い出している。  ——人間の心は実に脆い。だからこそ、彼らが必要なんだ。  ——後は、お前次第だよ。  青年は少しばかり思案した後、さらさらと文字を書く。 「よしっ。これで良いかな」  誰にともなくそう呟き、建て付けの悪い戸を開く。目の前に広がるのは、しんと静まり返った商店街の一角。清々しい朝の空気を吸い込むと、背筋が伸びた。 「たくさんお客さんが来ますように」  自分には無縁なラブソングを口ずさみ、店の壁の目立つところに貼り紙をする。  『貸本屋はじめました』  疲れた貴方に癒しの時間を——。
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