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えっ……?
僕は目を瞬いた。
こちらに来ると思ったのに、部長は僕の横を通りすぎ、社の前にある段差を飛び跳ねたのだ。
その部長を目で追う……え……、なに、あれ。
部長が行った先に、わけのわからないものがいる。
ムカデのように肢が何本も生えた生き物が体をくねらせていて、もたげた頭は部長より高い位置にある。
……な、なんだよ、アレ。
腰が抜けて動けない。ただ、部長とアレに目が固定されている。
部長は、左腰から刀を抜くようにして右手を掲げた。右手はピースの形をしているが、中指と人差し指はくっつき、ぴんと伸ばされている。
なにか文言を唱えて、「えいっ」と、右手を勢いよく振り下ろした。
アレが一刀を受けたように両断され、ギヤァと一声あげて消えていく。
部長の右手はまた左腰へと、左手でつくられた鞘におさめられた。
……え。部長あんなことできるの? てか、僕は夢でも見ているのか?
目の前で起こったことが信じられずに固まっていると、部長が険しい顔で振り返った。
「さぁ、早く帰りなさい」
僕はなんとか首を動かしてうなずいた。けど……、
「ぶ、部長。腰に力が……」
「しかたありませんね」
「きゃっ」
部長にお姫様抱っこをされて、思わず恥ずかしい声が漏れてしまった。
が、部長はそんなことに気にかけず、僕を社の中にさっと置き、内側から戸を閉めた。
「そこにいてください」
と、部長は指示したけど、動けないからここにいるしかない。
すると、部長はワイシャツを脱ぎだした。
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