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女を席に案内し、自己紹介をする。
「はじめまして!シンです!よろしく!」
女の身なりの派手さと、年齢に合わせ、明るく振る舞う。
「はじめまして。私は、ユリコ。この近くで働いているの」
ユリコが外を指さす。この近辺は、歓楽街。そこで働くという事は、水商売をしているという事。
自己紹介が終わると、俺は店のルール説明を始めた。一時間あたりの料金や、プラスいくらで飲み物が追加出来るかなどをできるだけ、丁寧に。
説明の間に、さりげなくユリコを観察する。身なりは、言葉よりも雄弁に本人の事を物語るからだ。
パサつきの目立つ髪からは、美容院に金をかけていない事が分かる。
不慣れなメイクからは、ユリコの年齢が若いこと。
飾り付けの少ないネイルからは、爪に金をかける余裕の無いことが。
先輩は入店したユリコを見てすぐに、金が無いことを見抜いたのだろう。だから、俺に客を譲ったのだ。
金がないなら、作らせればいい。それが、俺のやり方だから。
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