約束を破ったK君

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と肩をすくめて申し訳なさそうに謝るのです。彼の惨めな姿を見ると私の心の中が幾分かスッキリしました。  子供はよく純粋とか無垢とか形容されますが、どうもそうは思えません。ただ具体的に表現する術が無いだけで、他人を(さげす)んで自分が正常だと安心したかったり、予定調和の結果を求めて裏で駆け引きをするくらいはしていたような気がするのです。たまにオブラートに包まず、率直な発言で大人達をギョッとさせるのも決して清廉さから来るのではなく、ある程度ネガティブな感情を感覚的に分かった上で発言しているのだと思います。ただ大人が子供に清らかな偶像を勝手に押し付けて、自分にもそんな時があったのだと思いたいだけなのでしょう。大人も子供も本質的な違いはありません。きっと我々人間は自分たちが思っている程高等でも良く出来てもいないのです。  話を戻しましょう。そんなK君でしたが、この男子グループではそれなりに楽しくやっていたと思います。休み時間や放課後は一緒にサッカーや鬼ごっこをして遊んでおりました。体を動かすとそっちに神経を使うので、誰もK君の事をそこまで考えたり咎めたりしなかったのです。皆平等に楽しくやっていました。私達は放課後よく学校から少し離れた公園で遊んでいました。なぜかというと、その公園は他に遊ぶ子供が少なく、ほぼ自分たちで占領出来たからです。
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