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これは私が小学校二年生の時の話です。私の学校では二年ごとにクラス替えだったので、一年生の時と同じ先生、クラスメイトのまま学年が一つ上にあがりました。初めての下級生が出来ただけで、ちょっと偉くなったような、嬉しいような気がして舞い上がったものです。
私は当時、クラスの中のある男子グループに入っていました。仕切り役のS君が居て、それと一緒に居る数名の一人が私でした。今思うとS君はリーダーの素質があると言うより、声が大きく、物言いがハッキリした人物だったと思います。勉強も運動もそれなりに出来ていました。彼も何となくそれが自慢だったのでしょう。そしてそれを取り巻く人間達は彼のその堂々とした態度に、特に文句も言わず付いて行くという感じでした。考える必要が無いのは楽ですからね。そしてそのグループの中にK君という男の子が居たのです。K君は勉強も運動もS君とは反対にそれほど得意ではなく、先生も簡単な問題に答えてもらおうと配慮するのですが、それも彼にとっては難しいようでした。学校の先生は生徒を平等に扱わないといけないので大変な職業ですね。ただK君はとても素直でいい子だったと思います。しかし先生が彼に何か質問する時や、体育の授業の時にドッヂボールで彼と同じチームだと何か少し重たい空気を感じるのでした。今思うと、うっとうしかったのかも知れません。質問に答えるまで時間がかかるし、その答えも的を射ていないものが多く、ドッヂボールでも率直に言うと足手まといでしたから。そんな時S君の発言力は非常に心強かったのを覚えています。K君が何か間違えたり上手く出来ないと、
「おいK君!何やってんだよ!」
と私、もといクラスの生徒全員が心の中でぼんやりと思っていた事を口に出してくれたからです。そうするとK君は、
「……ご、ごめんなさい」
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