2人が本棚に入れています
本棚に追加
娘の場合
佐藤葉子、18歳。
高校1年、帰宅部。
「私も友達と遊びに行くしー」
葉子は何気なく週末の予定を家族に伝え、その流れでいくらかのお小遣いをもらった。
高校生にもなって、3000円なんて湿気てる。カラオケ行ったら ほぼ終わりじゃん。
母親が風呂に入っている隙に、父にすり寄る。
「ねぇ、お父さん。もう少しお小遣いくれない??」
父は嫌な顔せず、寧ろ鼻の下を伸ばし娘に甘えられるのを喜んでいるようだった。
「仕方ないなぁ、あと3000円な」
翌朝、葉子は2人からもらった小遣いを大切に鞄にしまい、出掛けた。
「おい、6000円って湿気てんな」
金髪ロングのつり目の女と黒髪ショートで きつめの化粧をした女が、葉子に詰め寄る。
「これが、限界で……」
同じ高校のひとつ上の先輩。
はじめは優しかった。クラスメイトに紹介され先輩2人とそのクラスメイトと私でよくカラオケにいったりしていた。
ある日、度胸だめしだと ふざけてコンビニの商品を持ち出した。みんなでやるっていったのに「ホントにやってきたの?」と、3人にバカ笑いされ、以来それをネタに……
カツアゲ現場に、クラスメイトがやってきた。
「おまたせー!」
落ち合った3人はゲームセンター行こうかと話ながら歩き出した。
私の存在なんて見えていないのか、取り残された私は 「時間を潰さなきゃ」と、当てもなくさ迷い歩く。
最初のコメントを投稿しよう!