#01-05.知られざる過去

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 大学は、ぶっちゃけ、神鷹のコネで入ることも可能だったんだけど。おれは勉強して自力で進学した。ふーちゃんは、高校からの進学組だったらしい。因みに、親父は幼稚舎からあの系列で通っていた、いわゆるぼんぼんなんだけど、ふーちゃんが公立の学校を選んだのは、自分とは違う、他者の視点を取り入れたかったから――らしい。  学費はじーちゃんに出して貰ったけど、学校はまあ、幼稚舎かそれ以降からの、お金持ち中心の内部進学組と、その事情を知らず、偏差値の高さとネームバリューに惹かれて田舎から猛勉強の末合格を果たし、上京して進学した、外部組の二グループにきっぱり分かれていてね。……なかなか興味深いものがあったよ。外部組は知らないセレブの世界に触れられて楽しそうだったし、内部進学組も、外から庶民が来たとて――まあ学費の高い私立に通わせるって時点で、親は結構な金持ちなはずなんだけど――異文化交流をそれぞれに楽しんでいる雰囲気だった。
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