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主将の時もこうすれば良かったのかと学ぶ。あんなに勝つために努力していた主将になんだか申し訳なく思ってきた。
「あれ……」
視界が急に霞む。ミント飴を食べてもいないのに、ツーンと鼻の風通しがよくなる。頬を伝ってこぼれた涙が黄ばみと重なる。
ゴムだけじゃない、歩き方の癖とか、大きさとか、もっと細やかな支援が出来たはずだ。
「よし……」
泣いている姿なんて見られたくないから早く、正確に済ませよう。こんなの選手でもないのにクサイと思われる。
手触り、質感、黄ばみ、緩み、フィット感、擦れる感覚、心地よさすべてを心で感じ、僕が最高の形に仕上げるのだ。
「愛、夜ー!!」
今度こそ!
僕はもう一度、指を滑らせた。
「だからにわ、何やってんだ?」
引退したはずの主将が急に現れ、驚いた拍子に手を離してしまった。
「愛、夜ぁー!!!」
なんとも甘美な刺激が、いやそんな場合じゃない。
とっさにそこら辺に手を伸ばし、涙を拭く。
「その……ブリーフの臭いを嗅いでました」
「……え」
「へへ、激臭ですね、これ」
危うく泣いているなんてクサイところを見られるところだった。
そしてこの時、僕の涙を含んだ白ブリーフに運命を感じた。
「今日からお前は相棒だ」
そう白ブリーフに語り掛けた。
君に決めた。
【了 個性豊かな白ブリーフたちが刺激する両腰ぴちっあいやーフェチ】
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