青春と孤独

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「あれ?」  大会後、先輩たちとサイゼリヤで打ち上げをし、邪魔な竹刀や防具を僕だけが担いでいない帰り道、主将は素っ頓狂な声をあげた。 「どうしたんですか?」 「いや、なんかいつもと違うんだよ」 「違うって何が?」 「うーん……なんだろ」  それから20分ぐらいずっと「うーん、うーん」とうなっていたが、主将だけ別れる交差点寸前で「あ!」と異変に気付いたような声をあげた。 「パンツか!」  先輩曰く、いつもPKを直しながら歩いており、竹刀や防具を持っていると直せなくてイライラしているらしいのだが、今日は一回もないらしいのだ。 「いや、どうでもいいわ!」  と笑いが起こり、主将は「次も勝つぞ」と言って帰っていった。  その背中を見つめていた1人の部員が「俺たち、いつもあの背中に助けられているんだよな」とつぶやいた。「しゃー、頑張ろうぜ!」と無駄に走り出した副将に僕以外の部員がついて行った。
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