11人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
朱色林檎のラフメイカー
―――自分の容姿が嫌いだった。
道管朱里がそう思うようになったのは小学校に入って学校に少し馴染み始めたころだ。
父が日系イタリア人で母親がアメリカ人ということもあり、家族そろって金色の髪に青い目が嫌でも目立つ。
とくに朱里より先に入学していた兄の緑は、見た目にそぐわず要領が悪くスポーツなどではよく足を引っ張ていることが多かった。
見た目は王子様、中身はおまぬけ。
そんなギャップある姿にクラスメイトの女子たちは『かわいい』と、もてはやしていたが、男子たちから見れば面白くないと目を付けられる一因となった。
そんな目立つ兄のせいで、学校に入る前から噂になっていた朱里はさっそく上級生たちに目を付けられていた。
「お前がまぬけな道管の弟か?」
「全然似てねえな!」
一年生は他の学年に比べ、早くに授業が終わる。
給食を食べた後、帰宅しようと教室を出た先で兄の同級生と思われる奴らにそう言われ笑われた。
きっと自分の兄もコイツらにバカにされているのが容易に想像ついた。
最初のコメントを投稿しよう!