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それからというもの、朱里は人とあまり関わらなくなった。
とくに小中学校では、兄の噂が付きまといそのせいで嫌な思いを何度もしてきた。
兄と離れれば問題はないかと思ったこともあったが、無関係の高校へ行っても、金髪、青い目の目立つ容姿に変な噂は常に付きまとう。
ガラの悪い先輩たちからさっそく目を付けられ、喧嘩を吹っ掛けられることもあったが小学校の時とは違い、知恵も力も良くも悪くもついていたためうまく切り抜けていた。
教師たちも面倒ごとには首を突っ込みたがらないようで、授業もまじめにうけ、勉強もできる朱里の態度にとくに何も注意をすることはなかった。
初めこそは大人たちの無責任な対応に若干反発する気持ちもあったが、率先して何か悪いことをしようという気持ちにはなれず、強いて何かしたか言えば、制服の下に目立つ赤い服を着るぐらいの小さな反抗だけは見せていたぐらいだろうか。
いつものように昼休みに本来ならば入ることが出来ない屋上に忍び込もうと教室を出た朱里の後を追う影があった。
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