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―――ヤバい先輩に目をつけられたか?
見た目が派手なせいで入学早々に一度喧嘩を売られている。
小学校の時と違い、身長も筋力も上がっていた朱里は先生たちが見えるところで自分が理不尽な目に遭っているというアピールをしたうえで見えないところで返り討ちにしておいてからは何事もなく過ごせていたはずだった。
だが、相手もいつかは朱里が一人のときにリベンジマッチを挑んでくる可能性はある。
気付かないふりをして朱里はそのまま屋上へ向った。
影はまだ後をついてきている。
朱里は生徒立ち入り禁止の張り紙が張られた屋上の扉の目の前で振り返った。
「着いてきてるのは気付いているぞ。誰だ?」
朱里が振り返ると驚いたような表情の派手な赤髪の少年が立っていた。
同じ制服を着てはいるが、クラスでも見たこともない少年は両手を上げてまるで降参だと言わんばかり。
「さすが道管くん。いや、『朱色の弾丸』って呼んだ方がいい?」
―――朱色の弾丸
自分の身は自分で守るつもりで、精神的にも肉体的にも鍛えた朱里はそう呼ばれていた。
同じ中学の同級生もいない、地元から離れた学校を選んだため朱里の過去を知っている者はいないはずだったが……
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