朱色林檎のラフメイカー

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 恥ずかしい上に忘れかけていた二つ名を呼ばれ、自然と声に怒りが混ざる。 「質問の答えになってないぞ。だからお前は誰だ」 「そんな怒るなよぉ。オレは(りん)。君と同じで女みたいな名前の生まれながらに派手な見た目で損してきた奴だよぉ。」  今にも殴りかかりそうな雰囲気の朱里に凛と名乗った少年は髪と同じ赤色の瞳にうっすら涙を浮かべていた。  見た目のわりには、朱里と違いそこまで精神的に強いわけではなさそうだ。  「聞いたことねえな」 「えー??前の学校では有名だったんだけどなぁ。……まぁ、『朱色の弾丸』様には負けるかもだけど……」  余計な一言をぽつりとこぼした凜をまた睨むと小さく悲鳴が聞こえた。 「だぁかぁらぁー!そんな怖い顔すんなよ、朱里!!オレは君と仲良くなりたいだけなんだ」  ―――仲良くなりたい?  凜に対する朱里の態度は、惹かれるようなところがない。  怯える凜に脅す朱里の姿は傍から見ればイジメの現場にすら見えるくらいだ。  それに、朱里は兄に助けられた時から決めたのだ。  誰にも関わらない……と。 「俺は誰とも慣れ合う気はない」  吐き捨てるように凜に向かってそう言うと、朱里は扉を開け屋上へ出ていく。  まるで拒絶をするかのように閉ざされた扉を凜は涙目で見つめる。 「……いや、絶対仲良くなるから」  凜の決意の言葉が静かになった屋上へ続く階段で力強く響いた。
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