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あの出会いから来る日も来る日も凜は朱里のもとに現れた。
屋上、体育館裏、休部中の文化部の部室、保険医のいない保健室
どんな場所に逃げても凜は追いかけてくる。
ただ、あの目立つ赤い髪は生徒が集まるようなところでは見たことがない。
姿を見るのはいつも朱里が一人でいるときだけ。
―――まさか幽霊とかじゃないよな
そう思ったこともあったが、触れるどころか殴ることもできたのだから間違いなく生きているだろう。
ならば、凛には何か秘密があるのだろうか。
調べたくても朱里には話せるようなクラスメイトも先生もいない。
凜の存在も不思議だがそれ以上に朱里に執着する理由も謎だ。
どんなに無下に扱っても、凜は朱里の目の前に現れた。
「どうしてそんなに俺なんかに関わろうとするんだよ」
今日も屋上に現れた赤髪を見つけると朱里は呆れを通り越し、半分諦めかけ常々思っていた疑問を口にした。
ようやく自分に興味を持ってくれたことに喜んだ凜はにっかりと人懐っこい笑みを浮かべる。
「ただ仲良くしたいだけだって言っただろ。逆に朱里はなんで一人でいたがるんだよ」
朱里の過去を知らない凜からしたら当然の疑問であろう。
もちろん朱里は話すつもりはない。
答えの代わりに視線を凜からそらすと、凜もそれ以上何も聞いてくることはせず最近発売されたゲームの話やテレビの話など他愛のない話をし始めた。
だが授業や学校の行事の話が一切出てこない。
やっぱりコイツはこの学校の人間ではないのではないか?
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