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周りが顔が良いとかスポーツができてカッコいいとか、優しい性格だなどと言う子がいたとしても、その声が彼女の気に入るような音色を奏でることがなければ好きにはなれない。
そんな風に過ごしていれば必然的に梢は一人で過ごすことが多くなる。
両親や先生方は心配をしていたようだが、別に彼女自身が気にしなかったため目立ったいじめなどはなく……いや、あったかもしれないが彼女が気にしなかったためクラスからは空気のような存在として扱われていた。
休み時間は一人で本を読むか、音楽を聴く。
そんな日々が別に辛いわけでもなく、当たり前に過ごしてきていた。
成長するにつれて直球で人を傷つける言葉を投げることはせず、オブラートに包む話し方も多少できるようになったが、上手くなじまずにいた。
高校に上がったときも、入学当初は物珍しくも話しかけてくれたクラスメイト達がいて少しは話を合わしたりもしていたが結局長続きもせず、挨拶はするが特に話すわけでない。
ただ同じクラスにいるだけの存在となっていた。
海水に身を任せ流れるクラゲのように梢は学校では、荒波も立てず静かにただ時間を過ごす日々を送っていた。
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