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2人目。
俺は50歳の蕎麦屋店主だ。
20年前に親父が倒れ、脱サラして実家の蕎麦屋を継いだ。
しかし俺は死んだ親父の、あの蕎麦の味を超えられず、ひいきにしてくれた客は離れ、今は不景気ときたもんだ。
女房に愛想を尽かされ出ていかれ・・・
増えていくのは借金ばかり。
親権も向こうに譲られて、俺は娘の参観日にも出席すら出来やしないダメ亭主・・・
だから今宵、この"オアシス"でガツンとパンチのある酒を飲んで、昔の事を忘れようと思っちまった訳さ。
・・・だが俺はいつか、親父を超える日本一の蕎麦職人になりてぇんだ!!
「マスター、いつもの!」
「おまたせ致しました。
"蕎麦湯"でございます」
「おおっ!! こいつは確かに、20年前に死んだ親父が作った蕎麦湯を遥かに超越していやがる!!
待ってマスター、やっぱ焼酎水割りでいいわ」
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