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翌朝、鳥のさえずりに目覚めた。
オーバードーズしたからか、
枕元は吐瀉物で汚れていた。
またしても死ねなかった。
死神は私の元へは来なかった。
死にたい死にたい言うてバカタレが
うち、も一度生きることにしたさかい
大丈夫やで
しばらくは
死にたい死にたい言うてバカタレが
の声がしていたが
ぴたっと止まった。
平穏な日が続く。
そうして時は流れて
40の時、私は末期癌に冒されていた。
腰まであった自慢のストレートの髪は、
全て抜け落ちた。
抗がん剤の副作用と闘いながら、
病院の屋上から空を飛ぶシチュエーションが頭の中を占める。
死にたい死にたい言うてバカタレが
まただ
生きて苦しむぐらいなら、こっちから
死神の救いを待つつもりであった。
死にたい死にたい言うてバカタレが
もうエエやろ?
うち、頑張ってきたやん
これ以上、苦しむんはゴメンやわ
死にたい死にたい言うてバカタレが
そない言うんなら、うちを楽にしてんか?
説教はノーサンキュー
なんぼなんでも今回は無理やわ
死にたい死にたい言うてバカタレが
スルーすることにした。
死にたい死にたい言うてバカタレが
死にたい死にたい言うてバカタレが
死にたい死にたい言うてバカタレが
ずっと聴こえてくる。
うるさいわ
誰か知らんけど、生きることが苦しいねん
末期癌やさかい自然と死ねるやろ
死神は、他の患者の元へ
やって来た。
一年の入院を経て私は生かされた。
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