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時は流れて、52の
2016年8月12日
長女が天に召された
私には人間の子どもがいない。
ゆえにたくさんの愛情を
咲羅(さくら)ちゃんに注いだ。
咲羅ちゃんとは入院生活を終えた
その日に出逢った。
強制的にダイスケと引き離された私にとって、咲羅ちゃんは天使のようで
いとおしくて、いとおしくて
宝物を扱うが如く
接していた。
その咲羅ちゃんが、
いつもより酷いてんかん発作をおこした。
私は、薄れゆく咲羅ちゃんの意識に何度も
大丈夫だよ
お母ちゃんがついてるから
しんどいな
きっと大丈夫やから
私に出来ることは声かけだけであった。
深夜、咲羅ちゃんは
2回キャンキャンと鳴き声をあげ
2回吐血して虹の橋へ向かった。
すっかり紙のようになった咲羅ちゃん
顔周りをきれいに洗ってあげ
ピンクの衣装ケースに
横たえてあげた。
もうあの可愛い咲羅ちゃんは
目を覚まさない。
ロックの氷で身体を冷やす。
咲羅ちゃん、ありがとう
お母ちゃんの娘でいてくれて
本当にありがとう
もうお目目瞑っていいよ
お母ちゃんも逝くから、
先行って待っててね
私は泣き崩れていた。
次女の彩音ちゃん、三女の夢魅ちゃんのことさえ眼中になかった。
火葬が済み骨壺に納まった咲羅ちゃん。
窓を思いきり全開にした。
10階から翔ぼうとしたその瞬間
彩音ちゃんが
ワンと一声鳴いた。
私は、ハッとして思いとどまった。
死にたい死にたい言うてバカタレが
すみません
もう少し頑張ってみます
死にたい死にたい言うてバカタレが
そうでした
遺されたフタリの娘を
見送ってからにします
死にたい死にたい言うてバカタレが
ごめんなさい
もう死にたいなんて
思わないようにします
ぴたっと止まった。
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