その想いが ちからをくれる

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「なおやくんこそ、どしたの?」 「いや? 智奈実(ちなみ)はカワイイなぁ、って思って」 「でもそれって、主に『眼鏡が』でしょう?」 「まぁ、うん。……ちょっと違うかもだけど」 「……違わないじゃん」  ――うん、やっぱり思った通りだった。  直也くんは生粋の眼鏡フェチだから。        ○ー○  彼と初めて言葉を交わしたのは小学三年生のとき。  今と大して変わってないと言えばそれまでだけれど、あの時の直也くんはなぜか妙にニコニコ笑って私を見つめてきた。  一、二年生の頃は眼鏡をからかわれたこともあって引っ込み思案気味な私は、そんな彼を不審に思って、本当は無視しても良かったのかもしれないけれど思わず訊いてしまった。 「大橋(おおはし)くん……だっけ?」 「うん」 「私の顔に、何か付いてる?」 「メガネがイイな、って思って」  ――正直、「この人、何言ってるの?」って思った。
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