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「戻って来た所だったんじゃないんですか?」
直美さんは向かい側から歩いて来た。
「気が乗らないから、早めに切り上げようとした所。まだ駅までは行ってない」
直美さんが歩き出した。
その隣を歩いた。
「なんで僕に構うんですか?」
歩きながら気になっていた事を聞いた。
最初から直美さんは親し気だ。
「なんで?」
直美さんは不思議そうに言った。
「のびちゃんがいい子だから」
いい子って言葉に落ち込んだ。
子ども扱いされてるみたいでイヤだ。二十才も年下だけど。
「小学生を褒めるみたいな言い方やめて下さい。一応、一人で生活してますから」
「一人暮らしなの?」
「大学に通う為にこっちに出て来たんです」
「頑張ってるんだね」
やっぱり子どもを褒めるような言い方にしか聞こえない。
「直美さんよりはしっかり生活してるつもりです」
ついそんな言葉が出た。
そんな事を言うほど、直美さんの事を知らないのに。
だけど、直美さんは怒りもせず「そうだね」と静かに言った。
急に直美さんを怒らせてみたくなる。怒った顔が見たかった。
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