彼女の名前

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「直美さんって、いつも若い男に気安く声かけるんですか?もしかしてそういう相手を探してるんですか?」 「そういう相手?」 「セックスの相手ですよ」  怒るかと思ったけど、直美さんは驚いたように瞬きをして、それから笑った。 「のびちゃんはそういう風に考えるんだ」  バカにされた気がする。 「だから警戒してるのね。安心して。襲わないから」 「警戒なんてしてませんよ」 「そうかな」  立ち止まってじっと直美さんが見てくる。  目が合って、息が止まりそうなぐらい苦しくなった。 「のびちゃんと友だちになりたいだけよ」  直美さんが笑顔を浮かべた。 「そんな事言って、世間知らずの学生に高いツボでも売りつけてくるんでしょ?」  苦しくて冗談を言った。  直美さんが楽しそうに笑った。 「のびちゃん、面白い事言うのね」 「幸運のブレスレットも入りませんからね。それから彼女ができるクリスタルもいりませんから。後、高い布団もいりません」  さらに直美さんが笑った。 「のびちゃん、そういうの引っかかったの?」 「そういう勧誘にあった事はあります」 「のびちゃん、話をちゃんと聞いてくれそうだもんね」
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