彼女の名前

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 次の日は雨が降っていた。  暇さえあればスマホの電話帳を開いて追加された直美さんのページを見ていた。  どうしたんだろう。直美さんに会ってからおかしい。ずっと直美さんの事を考えている。直美さんの笑顔とか、昨日の会話とかを頭の中で何度も思い返していた。  ため息まで出た。  講義に集中できず、窓の外をずっと見ていた。 「佐々木、聞いてる?」  山本に言われた。  学食にいた。 「何が?」 「だから、アイリちゃんどうだった?もうやったの?」 「アイリって誰?」 「合コンで会っただろう」 「ああ」  全く印象に残ってない。 「何もないけど」 「隠すなよ。ずっと上の空じゃないか。アイリちゃんの事ばっかり考えてるんだろ?」 「なあ」 「うん?」 「四十才ってどう思う?」  山本がお茶に咽た。
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