彼女の名前

8/8
前へ
/44ページ
次へ
「いきなり四十才って何だよ。いくらなんでも上すぎるだろ」  山本がありえないって顔をした。 「母親と年が近いんだぞ。女じゃないよ」  女じゃないって言葉に腹が立つ。 「そんな事ない。全然綺麗だよ」 「四十とエッチしたいなんて全く思わない。佐々木はできるのか?」  裸の直美さんが浮かんで、体が熱くなる。 「エッチしたいとかっていう基準でしか考えられないのか」 「当然だ」  山本が堂々と言った。 「世の中にはエッチしたい女と、したくない女の二種類しかいないんだ。男はそういう生き物だ。女だってそうだ」 「女もそうなのか?」 「そうに決まってる。付き合うとか、結婚するとかって、結局、セックスの相手を手に入れる事だろ」  直美さんにとって自分はどっちなんだろうか。  エッチしたい相手?それともただの話相手?  ――安心して。襲わないから。  直美さんの言葉を思い出して、落ち込んだ。  直美さんにとって僕はそういう事の対象外って事か。  胸が苦しくなった。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

80人が本棚に入れています
本棚に追加