日曜日

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「『ドラえもん』ですか」  意外過ぎた。 「エロいやつの方が良かった?」  直美さんが挑発するように言った。 「『ドラえもん』でいいですよ」 「良かった」  直美さんが幸せそうに微笑む。  いつも直美さんは幸せそうにしてくれる。  だからやっぱり好かれてるのかと思ってしまう。  映画は見た事のあるやつだ。ロボットの部品が地球に送り込まれて、のび太がそれを組み立てるが、実はそれは地球を侵略しようとする鉄人兵団の兵器だった。いつものメンバーで地球の危機を救うという内容だが、スパイだったロボットの少女がいつの間にか仲間になり、地球の危機を救う為に自分の存在を消す行為をする。  そのシーンが衝撃的で子どもの頃、とっても悲しかったのを思い出した。  映画が終わると、やっぱり涙が浮かんでしまった。自分の存在を消して、他者を救うという行為に胸が打たれた。良い作品は何十年経とうと良い作品だ。 「良かったねー」と言った、直美さんの目にも涙が浮かんでいた。そんな直美さんが愛しかった。 「直美さん」と名前を呼んでからキスをした。 ―――――――――――― 参考文献「ドラえもん のび太と鉄人兵団」 原作・脚本:藤子不二雄/監督:芝山努
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