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アンリは、
「京子さんは由加里の信奉者だった。それぐらいの調べがついていると、あなたは本当に考えなかったんですか」
「……アンリ、さん?」
佐保を追求するアンリを、千代は唖然と見上げる。
ついていけない千代の気配を察したのか、アンリは小声で教えてくれた。
「京子さんの売春グループを立ち上げたのは、実は由加里だったんだ」
「えっ!」
「由加里はこの家の人脈を利用して、女性たちに社会的地位のある男性を客として斡旋していた。表向きのグループのリーダーは京子さんに預けてね。
だから京子さんは由加里のことを信頼していた。彼女が最初にした自己紹介を覚えてる?」
京子は、
「佐保さんとは家族ぐるみのお付き合いをさせていただいています。娘ではありませんが、似たようなものです」
「あれは真実だよ」
京子は佐保と家族ぐるみのお付き合いをしていた。
そして由加里は、佐保の娘だ。
では、
「どういうこと?」
千代が聞けば、
「佐保さんが語った京子さんの動機は、デタラメだ」
「!」
アンリは佐保に向き直り、
「だからあなたは京子さんを殺すしかなかった。京子さんが目を覚ませば、あなたのついたウソが全部バレるから」
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