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隠された真実
それから少し経った夜、俺はひそかに元おやじの部屋にいつも通りあった短刀を取り、部屋をひとつづつ入っては斬り、また出ては隣の部屋に入っていっては斬った。(厳しいおやじに教えられた剣術がここで役に立つなんて)
俺はこの時そう思った。そして最後の部屋、俺の部下であり、子供のころの
俺の親みたいな存在だった健一...
俺は静かに部屋に入り、健一の目の前に短刀を突き付けた。
「ふえっ!?」健一は寝ぼけた返事を出しながら、そのまま動きを止めた。
俺は叫んだ。「最後に聞くことがある。なぜ、何の罪もない恵美を撃ったんだ!」すると健一は驚くべき事実を発した。
「あ、あの女はあっち側の組に脅されて組長を殺そうとしたんですぜ!」
「は?」
「だから、組長には言わないようにしたんけど、
組長を守るためには仕方なかったんです!」
そこから健一は恵美の親があっちの組につかまってること、
それで脅されてること、
だから組長を殺そうとしたことなど詳しく話した。
そういわれた瞬間あの事件の少し前に1錠くらいのカプセルを見つけたこと、そして恵美が最近おかしかったころを思い出していた。
その時から俺の感情は悲しみでも哀れみでも怒りでもなく、
本当の無感情だった。「ああ、そうか...」
(所詮俺らの関係は隠し事だらけだったんだな...)
そう思った瞬間目の前にあの血だらけの恵美が目の前に現れた。
するとこの前までは聞こえなかった
最後の恵美の声がはっきりと聞こえるようになった。
かすかに震えながら恵美は、
「晴馬...愛してる」かすかにそういった気がした。
俺は大粒の涙を流しながら短刀を自分の首に向けていた。
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