#1 終息

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#1 終息

夏も終わり、秋が来て、 夕方寒さで着込むようになった。 まだホッカイロが必要という寒さでは無いけれど、 セーターとかを着始める生徒も出てきた。 校舎裏にある畑の手入れを終え、 飼育小屋の鍵をチェックして空を見ながら伸びをした…赤紫の夕空は何処か寂しげだった。 …荷物を背負って商店街を歩く… まるみ屋商店のあった場所は更地になっていて、 看板が立っていた。 よく見ると新しく内科のクリニックが立つ予定だと書かれていた。 「……系列か?」 京極という苗字を見かけ、頭の中で推測をする。 詳しく知らないけれど… ゆかりさんの話では無免許で臓器移植や整形手術をしたりするんだったかな… “闇医者”なんてものがこの世に存在してる事が実感が出来ないけれど ゆっくりと商店街を抜けて駅前に着く。 確かにあの時あの場所で会話した。 駅前の24時間のカフェをじっと見つめた。 …なんだか、全てが幻のような… そんな感じであっという間に話が進み、 どうやら拓海さんと付き合ってて… 更には成宮神社に住む…とか…、 …というか… なんでこんな、口を出しているのか不思議で ふと自分の行動や言葉を思い返す。 夏祭りはまるみ屋商店の出店を手伝った。 その時は来るはずだった桔梗くんの姿が無く、 星那ちゃんの目が何処か腫れぼったく… ゆかりさんはぼんやりとしていて心ここにあらずな状態で… あんまり接客とかは自信があるわけじゃないけれど、しっかりと対応して場を和ませるように気を遣った。 珍しく帰ってからドッと疲れた。 風呂に入って布団に潜ってからの記憶があんまりなく半日寝れるぐらいに熟睡。 夢すら見る事はなかった。 …あの夏祭りの終わりに後片付けをしながら、 ゆかりさんと少し会話をする、 その時に まるみ屋商店の閉店の話を聞かされた。 「ありがとう、またいつかできる日が来たら…また遊びにいらしてね、素敵な最後の夏の思い出になってワタクシは幸せでしたわ◎」 「最後ですか…夏はまた来ますから、何度でも」 「ふふ、そういうところを突いてくるのは意地悪ですね…そうね…またいつか…」 店がなくなれど、また出来るのでは無いか? “最後”という言葉が妙に引っかかる。 上手い言葉が見つからないが何度か話しかけていくうちに、「転校をする」という言葉に辿り着いた。 それが最後の夏って言葉を生み出したのか。 …うーん… 転校する場所がどこであれ戻ってこれる。 どうして全てを終わりみたいにするのか… 帰ってこれるなら帰ってくればいいのに… 外国に行くんだとしても数日帰ってくるとか出来る筈だけど… なんて考えていたが、 まぁでも事情があるのかもしれないな…と、 自分の言葉は飲み込んだ。 その後、急なメッセージが来る。 “ 檀一郎くんへ こんばんは。 夜中に御免なさいね… …檀一郎くんには、 迷惑な話かもしれないけれど… ちょっと話したくて… メッセージを送りました。 … いろいろな事情があるのだけど、もう私は学校には行けそうに無くって。 … どう話そうかしら… 一緒に水族館に行きましたね… 水族館ってね、本当は嫌な思い出の場所なの。 中学生の時、 私と春輝と昔もう1人仲良かった子と一緒に行った大切な場所。 その日の帰り、 春輝とその子はトラックに轢かれました… 私の…家が仕組んだ事で、 私が家に逆らって遊び歩いていたのが原因だったの… 悔しかった。 学びをやめ、医療についても浅はかで、 救えたのは春輝だけ… 深く、春輝を傷付けました。 私の所為で。 悔しくて高校でやり直してみたけど、 やっぱり上手くいかなくて… 最後に悪あがきをしたら、 転校しなくては、 ならなくなって… 更には、もっと… 酷いことになってた… 蓋を開けてみたら、 全部、私の所為だったの。 …私ね、湊さんや檀一郎くん、春輝とみんなで過ごした時間、凄く楽しかった。 こういう時間が、 ずっと続けばいいのにって… そう思ってた。 …でも、もう難しいみたい。 …檀一郎くん、 お願いがあるの。 これは私の我儘なんだけど、 春輝の事… 少し気にかけてあげてね…1人で抱えたり、 暴走したり、 …まだ何処か危なくて。 私がいなくなった後、 ちょっと心配なの。 難しいとは思うけれど、 何かあったら、 話を聞いてあげてね。 新鮮な野菜や伸び伸びと生きる動物を見て、 檀一郎くんは優しくて、 暖かい人なんだって、 私は思っているから。 … 檀一郎くんが傍に居てくれた時間が不思議と1番安心できる時間でした。 本当にありがとう。 どうか、お元気で…“ まただ、また終わらせようとする。 なんだろうか…胸につっかえる感じ。 イライラしているという表現が1番わかりやすい。 “何があったんですか?今どこいます?” 返事をしてくれ。 そう思って今すぐには気持ちをぶつけなかった。 話していけば会えるとわかり早々に駅前に呼び出した… 家出をして行く場所がなくて彷徨っていたのか。 腹立たしい。 …誰でもいいから頼ればいいのに。 まだ、鷹左右春輝にも連絡をしていない? あんなに仲良さそうなのに… …なんで? 思わず溜息さえ漏れた。 失礼かもしれないが先輩に対して説教をするような態度をとってしまう。 ここまで来た、俺が呼び出したら話をしに来てくれたぐらいだ… 本当は助けて欲しいんだろうなっていうのも、 なんとなく感じた。 ちょっと強く言ってしまったし、 少し強引だったかもしれないけれど、 その日の夜は自宅に招いた。 …朝出て行く時には、何かを決意したような、 そんな様子だったから引き留めなかったけれど、 まぁ、今元気にしているならいい… ……… 騒がしい駅に紛れて、 人混みを駆け抜ける黒い服の男達が目についた。 人にぶつかりながら謝りもしないで、 俺の横を過ぎる。 1人電話をしてる男の声で 「鷹左右」って名前が聞こえた気がする。 一瞬だったけれど珍しい名字だし聞き間違えたりしないだろう。 …よくわからない。 ただ、感情が追いつかないまま男達を追いかけた。 嫌な予感がするって…こういうことだろうか。 アイツだけが、戻ってきてない。 狭い道を曲がったり、塀を飛び越えたり、 変な方へ向かうなぁと思いながら跡をつけると、 やけに広い通りに出た。 なんだここ… その奥にアパートか? 犬の吠える声が響いていた… 「ふざけんな!!!!」 聞き覚えのある予想していた人物… 鷹左右春輝がバイクを走らせアパートに向かって叫んだ…その瞬間車が勢いよく走り去っていく。 「くっそ…」 バイクを投げ捨て、階段を上がるその姿を見てびっくりした…合わないうちに…なんだあの傷だらけ… 服か?いや、今怪我してるのか? 走って階段を登ってその後ろを追いかける… 廊下に散らばる教科書や服…アクセサリーに… ぬいぐるみ… ……… 「何やってんの?」 開けっ放しの部屋に佇む鷹左右春輝に話しかけた。 こちらをゆっくり見た彼の目はコチラを睨み、 真っ黒に澱んでるように見えた。 「何でいるのー?」 にっこりと笑うその顔は、 確かにいつもと同じなのに……冷たい。 「いや、こっちの質問に答えて」 玄関に落ちていたノートを拾う。 めちゃくちゃになっているが、思ったより綺麗に纏めて書いてあった。 授業中寝てるのかと思ってたけど、 違うんだろうか。 SNSが全てじゃない、 見た目がどうだからとか関係ないんだろう… 知らない顔がいくつもあるんじゃないかとは思っていたから別に同様はしない。 ただ、………この現状がなんなのか知りたい。 「帰ってよ」 答えにならない応えが返ってくる。 「檀一郎には、関係ないから」 「まぁ、関係ないけど」 関係はないんだけど…「約束してんだよなぁ」と心の声が思わず口に出てしまった。 小さな声だから聞こえる事はないだろうけど… 血の後を触りながら春輝が 「ピンちゃんの血じゃねぇな…良かったけど…、マジあいつら許せねぇ…」 と言った。 それにしては部屋の荒れ具合と血後が気になる。 犬だけの争いだったらこんなことになるはずがない……… 「ピンちゃん?もしかしてあの犬?Twitterでたまに載せてる…」 …犬…しかもミニチュアダックスだったかな… あんなに小さな犬にこんな手こずるか? 「そう…連れてかれた…みたい…やり口が昔からマジで変わらないんだよな…ムカつく…命奪うのだけは許せねぇ……」 「ふーん、 大事なペットでアンタのこと釣ろうってわけか」 血後を触っていた春輝が立ち上がり怪訝な顔をして 「最悪、殺されるな……過去にあったし。 …こっちの家…帰ってこなきゃよかった………」 と眉間にシワを寄せていた。 「こっち?他にも家あんの?」 「うん……そうだな…」 「もしピンちゃん取り戻したらそっちの家に匿える?」 俺の言葉にまた複雑な表情になった。 俺が何か変な話しているのだろうか。 「実はさ、ピンちゃん…、飼い主俺じゃないんだよ…だから…元の飼い主のところに返しに行く… 助けたら、返しに行く…」 そう言って、ゆっくりと棚に手をつき、 にっこりと笑っていた。 「へぇ…そうなのか」 とその先の言葉を待っていると急に 「ごめん檀一郎…ちょっと」と俺の前で手を振られた…行動の意味がわからずに、 「ん、なに?」 と聞いた途端に床に手をついて倒れ込み、思わずびっくりした。 「ちょっと見えない……貧血かなぁ…待ってて… すぐ治ると思う〜……」 なんて、そのまま散らかった床で寝っ転がった。 「え、ちょっと…大丈夫なのかよ」 近づいて顔覗き込むとしっかりみてなかったけど、真っ青というか、真っ白で血の気がない。 ご飯とか食べてんのか? 「あーうん…近くに来たのはわかる〜」 手を伸ばしてヘアバンドに触れたかと思うと、 思わずスルリと取り上げられた。 「ちょっと、まだ居て…今誰か来たらヤバいから」 目瞑りつつヘアバンドを強く握る姿を見て、 本当にしんどいのがわかるので、 「おい取るな……ハァ……ったく」 といいつつ仕方なく横に座ってみるが… そんな状況で本気で行くつもりなんだろうか… 「ずいぶんボロボロな姿だけど、何したらそんななるわけ」 部屋を今一度見回すと、冷蔵庫とか食べ物は一切無いようだし使われてない家だってのは理解できる。 日用品が極端に少ない。 ただ、衣類とか学校の道具とか画材とか… 物置みたいな感じだったんだろう。 「ごめんね〜…檀一郎は、もう見られちゃったし、迷惑かけてもいーやってなっちゃったけど…嫌だったら捨て置いていーよ…」 和かな笑顔で言うが、 なんか嫌な感じでモヤモヤしてくる。 死ぬつもり…か? 「うーん…俺がいい顔して、 誰かを助けようとしたら、 他の誰かを傷つけてて、 そいつにとっての悪になってたんじゃないかなぁ。 邪魔なんだよ俺が。 きっとね。」 不意に目を開けて天井を見上げていた。 そこには何もないけど…どこか違う世界でも見えてんだろうか。 「アンタを捨て置く前にまずは犬助けなきゃだめでしょ。 そいつとアンタのどっちが悪者だろうが、ピンちゃん?だっけ…その子にとっては関係ないんだし。」 誰かのために行動してきたんだから、 きっと、そういう所に突き動かされるだろうと、 今一度声をかける。 「そうだね…行かなきゃ…ありがとう…」 無理矢理に重たそうに体を起こしてヘアバンド 返して来てポケットを漁る。 「あれ…ないや…」 「?…なにが」 懸命に辺りを散策するものだから、 大事なものなんだろうけど… 「薬が無いの…どっかで落としたかなぁ〜 まぁいいや…もう暗くなっちゃうね… ここにいたら檀一郎危ないから早く帰りな。 家に誰かいんじゃ無いの? 遅いと心配するでしょー?」 …………はぁ、とため息を一つ漏らして意を決する。 「アイツら向こうに向かったよね…」 と扉に俺が向かっていくと焦って腕を掴まれた。 「え、おい…相手は…拳銃とか撃ってくんだぞ??!いくつもりかよ…」 そんなことわかってる、でも… 今その体で?どうやって戦うつもりなんだ… 何をそんなに焦ってるんだ? 「俺さ、動物虐めるやつって嫌いなんだよね… アンタ満足に動けなさそうだし、多少は協力できると思うんだけど あぁでも顔がバレんのは厄介だな…」 自分の顔を触りながら困ったようにしてると、 フハッ…と笑い出すもんだから、 ちょっと安心した。 …笑えるじゃん… アンタには、その顔の方がお似合いだよ… 「俺も許せねぇよ……ねぇ、俺もその檀一郎の言う動物に入ったりしてないの〜?」 目を細めながらいつものように冗談が言えるみたいだから、心は死んでない。 悪くないんだよな。 こーいうやりとり。 「人間は対象外なんで。」 と冷たくいつも通りに返す。 「なんだよ〜寂しいなぁ〜… まぁ、それぐらいがいいのかもね…」 それぐらいって…どういうことだろうか。 距離感か?人との距離感は確かに難しいかもしれない……近すぎるんだろうな、いい意味で……… 鷹左右春輝は優し過ぎるし、 考え過ぎてるというイメージが俺の中にあった。 「んーーー…顔バレかぁ…アレはあるよ。」 縁日とかのお面を指差して言われ馬鹿にしてるのかと一瞬思った… 「夏祭りで、サイズが大きすぎるって子供にもらったから…視界めちゃくちゃ悪いだろうけど。」 「…もーちょっとマシなもん無いの?」 お面を手に取って顔につけながら、 「あぁうん、視界悪いわ……」と春輝を見ると、 「やば、うける…傷が開くから笑えねぇの辛ぁ…」 って言ってそっぽを向く。 傷?…あぁほら…どっか怪我してんじゃん? …何してんだ…笑って開くような傷って… …………死にたいとしか思えない。 「お面以外かぁ〜ゴーグルとか?…あぁ、バンダナかなぁ… …つか、マジでくんのかよ… 檀一郎って強いの? なんかこう、生き物世話するイメージしかねぇな…」 「どーだろ、強さはよくわかんない。一応ケンカで負けたことは無いけど、爺ちゃんには敵わないし…」 お面を外しながら他のものを手に取り物色しながら。 「ゴーグルよりはこっちの方がまだ良いか…一応バンダナも貸して。」 というとバンダナを渡さずに手がさっと差し伸べられる。 「…ねぇ、檀一郎〜手出して??」 「なに」 急に調子に乗っていつものように何か仕掛けられるのかと身構える。 「いーから、いーから。」 不意に手を握られた。 「意外と豆だらけ〜…まぁ、大丈夫そーだね…行くか。」 ……なんだ今の…? …バンダナを渡されて扉を開け階段を降りる… 「そういえばあのバイクって2人乗りできるのか?俺ら結構ガタイいいけど…」 「平気でしょ…… あ、じゃあ…ちょっと派手だけど近くに、ゆかりのやつあるから借りて行こうか…ハーレーだから、絶対乗れるよ〜めちゃくちゃ目立ちそ〜……」 ハーレーって目立つどころの騒ぎじゃないのでは… なんて頭の中で想像していると、階段の途中で立ち止まって俺の方を見た。 振り向いて頭を下げながら、 「マジで、ごめん…ありがとう…」 と発する。 ……約束している…とは言えないけど…… …多分、 俺じゃなくても同じ選択をする人間はいると思った。 それだけ、周りといつも仲良さそうに絡んでるイメージだったから… でもなんだろう…切羽詰ってる感じがあるな… 「予め話しとく事がある……」 体を起こしてそっと自分の右目に触れながら、 正直に話し出した… 「俺、右目が悪いの、 コンタクト入れてるけど、 手術してないから時期に見えなくなると思う。 視界が最近悪くなる事が多くて右は感覚に頼ってるんだ。 ほとんどコンタクトも意味がない状態… …… それから、 何度か身体に薬を投与されてから、 おかしくなってる。 病院いったけど、 さっきみたいな貧血が起きたりとか… …それがまぁ、 ある薬物を投与されてからおかしくなってて… 結構ヤバいやつなんだ。 無理矢理飲まされたりする事が万が一あったら。 これ、……すぐに飲んで。」 俺の手にカプセル状の薬を渡してきた。 「ゆかりが作った対抗薬だから。 初期段階なら押さえられる。 俺は手遅れだけど、 まだ健康な人なら大丈夫。 …… 檀一郎を、 そんな危ない目には絶対合わせるつもりはないし、 いざとなったら、 俺のことは気にせず逃げて欲しい。 大した奴らじゃないけど、 目的はピンちゃん奪還できればそれでいいから… あと…これ…」 紙切れを渡してくるので、ゆっくり紙を開くと そこには住所が書かれていた。 少しだけ離れた街の名前だ… 「もし、ピンちゃんを奪還したら、その住所のところまで行ってほしい… 俺が囮になるから、 檀一郎がピンちゃんを飼い主まで届けてほしい。 頼む。 一生のお願い。」 ……一生のお願いが…そんなことでいいのか? 「アンタの事情はだいたいわかった。 最悪なことになる前になんとかしたいけど、もしそうなったらピンちゃんはちゃんと送り届ける。」 いろいろ聞きたいことが山ほどだ。 薬とか病気の話とか… どれだけいろいろ抱えてんだよ。 「ありがと〜持つべきものは檀一郎だなぁ〜♬」 嬉しそうに肩を組む春輝の手を阻もうとしたら、階段の下に人がいてこちらを見上げていた。 「春輝、ただいま」 ……… その人物は血だらけで、1匹の犬を抱えていた。 ピンちゃん? 「夏…」 思わず春輝の顔を見るとさっきよりも白く感じた… 強張った顔をして、俺も無駄に緊張してしまう。 なんだ?誰なんだ? 「ちゃんと連れて帰ってきたぞ?もう安心だな…早く家に入ろうぜ」 「なんでだよッ…」 思わず春輝が男の襟元を掴んで今にも殴りそうになり、犬が手から降りて走り出しそうなのを俺が捕まえる。 なんなんだ? 何が起きてるんだろうか… 「…えっと…コイツ誰?」 俺の方を指差しながら男はいうが「夏月には関係ない」と口にするあたり何も言わない方がいいだろう。 「ピンちゃん連れて行って、飼い主のとこに」 と言われて俺はうなずき行こうとすると周りに黒いスーツを着た男が何人も出てきた。 夏月と言われた男は俺に向かって、 「飼い主は春輝じゃん?…何言ってんの?」 と言った。 ……いや、何言ってんのは…お前じゃ… 「……返せよ」 言い返す前に急に俺からピンちゃんを奪って夏月と呼ばれた男が春輝に押し付けていた。 唖然として犬を手にする春輝の姿に俺もどうしたらいいのか全くわからない。 「………どうなってるか説明して欲しいんだけど」 と俺が口にした瞬間。 その瞬間だった。 …あれ? …… ………… …!!! 「はっ…ッ!」 いってぇ… 体が重いし足や腕が痺れてるような感覚… 気がついたら…… 病院に居た。 なんで? 夢?夢か? それにしてはリアルだよな…… 眩しい日差しに目が眩みながら、 思わずベッドの横にある上着に手を伸ばして引っ張る。 いや、夢じゃない。 だってポケットに紙が入ってる。 薬がなくなっていたが、 住所を書いた紙だけが存在してる。 二重になったポケットの奥に挟まり込んでいたから没収されなかったんだろうか。 …この病院って、結構有名な病院だったよな。 …思わず病院内へと足を運ぶと、大きな字で “京極病院の医院長が自殺か!?”という大きな見出しを見つけた。 …京極? …きょう… …… 医者の娘…だっけ、あれ?この病院…… 周りの人も騒ついていて気付く。 …… …“京極病院” なんか嫌な予感がする。 病院の手続きを済ませようとすると、 受付にお金は不要だと言われた。 誰かが支払った…なんて言われ、 更に不快な気持ちになっていく。 …病院を出てすぐバスに乗った。 紙に書かれた住所を目指して… 学校とか今は行ってる場合じゃない。 目で見て確かめよう。 … ピンちゃんの飼い主に話を聞けば、 何かがわかる気がして… …た… 無い、 どこにも無い、 確かにスマートフォンに映し出された住所はここだ… 綺麗さっぱり何も無い。 空き地と看板が立つ。 …紙をぐしゃっと握り潰して、 京極ゆかりに珍しく自分からメッセージを送る。 【朝早くすみません。 京極病院の医院長ってもしかして… ゆかりさんのお父さんですか? ……あと、アイツ……連絡とれましたか? 鷹左右春輝…】 すると、メッセージを送った後ですぐに着信が鳴る。 『…おはよう、ごめんなさいね急に…』 「いや、俺こそ」 この混乱した頭を整理したい。 『…私の父…そうよ…父が亡くなりました…今それでちょっと大変なの……さっき、春輝から“全部終わった”って連絡があったけど…でも電話しなくても出ないし…返事をしても帰ってこないわ…檀一郎くん何か知ってる?』 …寒気がした。 推測でしか無いけど、自殺って…嘘なんじゃないか? 「…俺も探してみます」 思わずゆかりさんの電話を切ってしまった。 言葉にならない。 ……あの後、どうなったんだ? …学校…行こう… 今の自分に出来ることは何もないけれど、 ただ、手の震えが止まらなかった。 …訳がわからない。 …もし、アイツにあったら… 説明してもらわないと気が済まない… 珍しく憤りを感じながら いつも通り剣ヶ崎学校へと向かった… END … はい、どうも… 神条めばるですーーー、、、 とに!かく!言わせて欲しい事が山のようにあるんですけど… 実はこの話…、、、 つい最近までこんな呆気ない終わりにはしてませんでした。。。 檀一郎もバチバチバトルするし、 春輝とかっこよくなんかしますか!!!! ぐらいにフラットな…感じだったんです。 が、しかし… 人生そんな甘くねぇよ。 と言わんばかりに「家族」の干渉が起こります… でも凄い私の中でもしっくりきてしまいました… 過去に神谷組(巽先輩サイド)に春輝が監禁?されそうな話が出た時があって。 (リアタイで起きた この時に鷹左右組に春輝は一回帰っていて、(実家)そっから鷹左右組に跡をつけられ、裏で動かれていてもおかしくないし… 自然な流れすぎて… 裏で大人の介入が起きた事で、 春輝がしたかったことは結局は無意味となります、でも実質は自然に解決に至り、 汚れた仕事をしたのは鷹左右組になる …落ちなんですが… 私はね!やるんなら裏でじゃなくて、、、 春輝と一緒が良かった…とは思いますが、 残念ながらそれを許してくれません… (複雑な事情により 今更なんだよってなるわけですね。 大人の事情なんだよ、苦しいよ。 檀一郎くんは巻き込まれかけたけど回避できて良かった…みたいな感じですが… 京極ゆかりとの関わりをたくさん持ってくださったからこその話の胸糞悪いけど終息が檀一郎だったこと、 私が本当に嬉しく思ってます!!! ゆかりはこれから異常な莫大なる資金と共に(一人娘)拓海くんと歩むし、 神社お金持ちフラグでは… これは、凄い事が起きていますね。 奇跡というより高校生にして恐ろしい事態に… 聞いて欲しい、ゆかり、 本当の母というのは存在していません。 お父さんが頭おかしいのですが… 家についてあまり語りたくないから割愛しますね。( …とにかく、相続人はゆかり一本です。 うわーーーーーーーーー 檀一郎にも給付したいね。 ビニールハウスとか飼育小屋増設資金にしておくれ… 神社までもが凄い事に…いっそ、神社の片隅で…まるみ屋商店を開くのは?アリでは? とにかくビビリ散らかしています。 (創作なのにこの流れは予想外 ピンちゃんが本当の飼い犬となったのは、 春輝の生きる希望になる気がするので、 悪くないと思った。 本当の飼い主ごめんな(本当の飼い主はメバル …という形で、良くも悪くも… これが結末です!!!! さあ、こっから春輝の気持ちがどんな風になるのか、、、、!!! 次回をお楽しみにーーー!では!
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